はじめに|利益が残らない原因を整理したい方へ
「売上はそこそこあるのに、なぜか利益が残らない…」
多くの飲食店で共通する悩みです。
この問題は、
センスや努力が足りないから起きているわけではありません。
実際の原因はとてもシンプルで、
“利益の仕組み” が数字として整理されていないこと にあります。
飲食店の利益は、次の式で決まります。
利益=売上 −(原価+人件費+固定費)
たったこれだけの式ですが、
原価・人件費・固定費は互いに影響し合い、
どこか1つが崩れると、店全体が赤字体質になります。
この記事では、 飲食店が利益を残すために必要な考え方を、
「利益構造の全体像 → 費用別の改善ポイント → 実例による改善プロセス → 仕組み化」
という流れで整理しています。
まずは、ご自身の状況に近いところから読み進めてみてください。
🟦 利益の仕組みがよく分からない方へ
「何をどう改善すればいいのか分からない」
「原価?人件費?どこから見ればいい?」
という方は、
利益構造の全体像 を押さえるところから始めるのがおすすめです。
👉 本記事
飲食店の利益構造・経営改善の完全ガイド(このページ)
🟦 売上はあるのに利益が出ないと感じている方へ
「忙しいのに儲からない」
「黒字のはずなのに苦しい」
という場合は、
利益が出ない典型パターン を知ることが近道です。
🟦 原価や人件費が怪しいと感じている方へ
「原価率が高い気がする」
「人件費を下げても楽にならない」
という方は、
費用ごとの考え方と改善ポイント を確認しましょう。
👉 飲食店の原価管理・原価率改善の完全ガイド
(理論原価・実際原価・ロスの考え方を解説)
👉 飲食店の人件費・シフト最適化の完全ガイド
(売上に対して適正な人数を考える方法)
🟦 利益改善を一時的で終わらせたくない方へ
「一度良くなっても、すぐ元に戻る」
「現場が忙しくて管理が続かない」
という場合は、
改善を仕組みとして定着させる考え方 が重要です。
👉 失敗しない利益改善ステップ(実例付き) 以降を重点的に読むのがおすすめです。
🟦 利益は出ているのに、お金が残らない方へ
「帳簿上は黒字なのに、なぜか資金が不安」
という場合は、
利益とお金(現金)の違い を整理することが重要です。
👉 飲食店の資金繰り・キャッシュフロー完全ガイド
(利益と現金のズレを初心者向けに解説)
どの記事も、
すべてを順番に読む必要はありません。
今いちばん困っているテーマから読み、
少しずつ理解を深めていきましょう。
利益の仕組みが見えるようになると、
経営判断は驚くほどシンプルになります。
1. 飲食店の利益構造を理解する
飲食店の典型的な利益構造は以下のようになります。
| 費用区分 | 目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 原価 | 25〜35% | 食材費 |
| 人件費 | 25〜35% | スタッフの給与・社会保険 |
| 家賃 | 8〜12% | 固定費の中心 |
| 水道光熱費 | 5〜10% | 月によって変動 |
| その他経費 | 5〜10% | 消耗品・備品・広告費 |
黒字の店は、この構造が安定しています。
一方で赤字店は、原価・人件費・固定費のいずれかが突出しやすい。
特に多いのが以下のケースです:
- 人件費が35%を超えている
- 原価が30%を超えている
- 家賃比率が高すぎて利益が出ない
- ロスが多いのに把握できていない
利益を出すには、まず “どこに問題があるのか” を特定することが第一歩 です。
2. 固定費(家賃・設備費)の最適化が最強の利益改善
飲食店経営で最も見落とされがちなのが 固定費の最適化 です。
◆ なぜ固定費は重要なのか?
原価や人件費と違い、固定費は 売上が下がっても下がらない という特徴があります。
そのため、売上が下がった瞬間に一気に利益を圧迫します。
◆ 家賃の理想比率
家賃(共益費含む)は
売上の8〜12%以内が理想 とされています。
例:
- 売上:500万円
- 家賃:60万円(12%)
これが
売上400万円に減った瞬間、家賃比率は 15% に跳ね上がります。
→ 売上が減る=家賃が重くなる
という構造的な問題が発生します。
◆ 固定費を改善する方法
- 家賃交渉(借り換えや更新のタイミングが狙い目)
- 電気・ガスプランの見直し
- 不要なサブスクの断捨離
- 在庫スペースの削減による倉庫費用削減
- POS・システムのコスト最適化
固定費の削減効果は永続的なので、
“即効性 × 継続性のある改善策” と言えます。
※ 固定費・資金計画・融資を含めた 飲食店のお金全体の考え方については、 飲食店の資金調達・お金の完全ガイド で詳しく解説しています。
3. 原価率を最適化する:利益を守る最重要ポイント
飲食店の利益を圧迫する最大の要因は 原価率の悪化 です。
原因は大きく3つ。
① 売価設定が適正でない
価格設定が低すぎると、どれだけ売れても利益は出ません。
理想は 目標原価率から逆算する値付け。
例:
- 食材原価300円
- 目標原価率30%
→ 売価:1,000円が適正
② メニュー別原価を把握していない
総原価率だけ見ても改善はできません。
メニュー単位で原価率を出すと
「利益を押し下げているメニュー」が特定できます。
例:
| メニュー | 原価 | 売価 | 原価率 |
|---|---|---|---|
| サラダ | 180円 | 700円 | 25% |
| パスタ | 280円 | 950円 | 29% |
| ステーキ | 650円 | 1,800円 | 36% |
③ ロス・廃棄の発生
ロスは「見えない原価」
これが多いと利益は驚くほど削られます。
改善策:
- 週次棚卸し
- ロス日報
- 定位置管理
- 仕込み量の調整
- 発注の精度向上
※ 原価率の考え方や、
理論原価・実際原価・ロス管理の具体策については、
飲食店の原価率を下げる完全ガイド
をご覧ください。
4. 人件費を最適化する:過剰シフトが赤字の原因
人件費が35%を超えると、利益を出すのが難しくなります。
人件費悪化の典型例はこちら:
- 予想より売上が少なかった
- 感覚的なシフト作成
- 多めに仕込むために人手が必要
- 動線が悪くスタッフ数が増える
- 作業分担が非効率
◆ 必要人数の算出方法(科学的アプローチ)
必要人数=時間帯売上 ÷ スタッフ1人の処理能力
例:
- 時間帯売上:40,000円
- 処理能力:20,000円
→ 必要人数:2名
この原則を守るだけで、人件費は劇的に改善します。
◆ 動線改善が最強コスパ
動線改善は「スタッフ1名カット級」の効果を持つことがあります。
- 冷蔵庫の位置
- ドリンクステーション
- POSの配置
- 注文・提供動線
少し変えるだけで、1日の総作業時間が数時間単位で減ります。
※ 売上予測をもとにしたシフト設計や、
人件費を下げる具体的な考え方は、
飲食店の人件費をどう下げる?完全ガイド
で詳しく解説しています。
5. 失敗しない利益改善ステップ(実例付き)
店舗A:居酒屋・月商350万円
利益がほぼゼロ。
改善プロセス:
ステップ1:数字の可視化
- メニュー別原価
- 時間帯売上
- 仕込み量
- ロス量
→ 原価率 38%・人件費 34% と判明
ステップ2:メニュー再設計
- 利益率の低いメニューを価格改定
- 人気の高原価商品をセット化
→ 原価率 35%に改善
ステップ3:シフト最適化
- 忙しい時間帯のみ人員投入
- 閑散時間帯は2名体制へ
→ 人件費 30%に改善
ステップ4:ロス削減
- 仕込み量を売上予測ベースへ変更
→ ロス額 月4万円 → 1万円へ減少
結果:
月間利益 +25万円改善
6. 利益改善を継続させる仕組み
利益は「仕組み」がないとすぐに元に戻ります。
必要なのは以下の3つ:
◆ ① データ管理
- 売上
- 仕入
- 在庫
- 人件費
- メニュー別利益
これらを一元管理すると改善サイクルが高速化します。
◆ ② チーム共有
- 原価意識の浸透
- 盛り付け基準の統一
- ロス理由の報告
◆ ③ システム活用
エクセルだけでは限界があります。
原価管理ツール・シフトツール・売上予測ツールが必須に近い時代です。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 利益率はどれくらいあれば良い?
一般的には 10〜15% が優良水準。
5%以下は要注意。
Q2. 原価率・人件費率・家賃比率のバランスは?
理想バランスは
30:30:10
(あとはその他経費)
Q3. 最初に改善すべき費用はどれ?
最も効果が大きいのは
人件費の最適化 と ロス削減。
Q4. 利益改善はどれくらいの期間で効果が出る?
- 価格改定:即時
- ロス削減:1〜2週間
- シフト最適化:1ヶ月
- メニュー再設計:1〜3ヶ月
Q5. スタッフが原価意識を持ってくれません…
“数字の指導” より “行動の理由を説明” する方が効果的です。
例:
「盛り付け10g多いと月◯万円損する」
Q6. 赤字店舗でも黒字化できますか?
原因を正しく把握し、改善サイクルを回せば
多くの店が3〜6ヶ月で黒字転換 できます。
※ 利益改善の前提となる
「資金計画・融資・資金繰り」を整理したい方は、
飲食店の資金調達・お金の完全ガイド
もあわせてご覧ください。
まとめ
飲食店で利益を残すには
原価 × 人件費 × 固定費
の3要素を正しく管理することが不可欠です。
適正化とは「削ること」ではなく
ムダをなくし、仕組みで利益を増やすこと。
改善できる余地は必ずあります。
今日から数字を味方につけて、
利益の残る強いお店をつくりましょう。



