はじめに
飲食店を経営していると、こんな状況に直面することがあります。
「帳簿上は黒字なのに、なぜか口座にお金が残らない」
「売上も利益も出ているはずなのに、支払いが不安」
これは経営が下手だから起きる問題ではありません。
実際、多くの飲食店が同じ状態に陥っています。
原因はシンプルで、
「利益」と「現金(お金)」を同じものだと誤解していること にあります。
この記事では、
- なぜ黒字でもお金がなくなるのか
- 飲食店で特に起きやすい誤解
- 初心者が最初に理解すべき考え方
を、専門用語を使わずに解説します。
なお、資金繰りやキャッシュフローの全体像を 最初から整理したい方は、
を先に読むと、この記事の内容がより理解しやすくなります。
結論|黒字=お金が増える、ではない
まず一番大切な結論からお伝えします。
黒字とは「利益が出ている状態」
お金がある状態とは「今すぐ使える現金がある状態」
この2つは、まったく別物です。
ここを理解しないまま経営すると、
「黒字なのに資金が足りない」という状態が起こります。
誤解① 利益が出ていればお金は増えている
利益は「計算上の数字」
利益とは、
売上 − 費用
で計算された、帳簿上の数字 です。
しかし、利益が出ていても
そのお金がすぐに使えるとは限りません。
飲食店でよくあるケース
- 内装工事費を分割払いしている
- 厨房機器をリースにしている
- 融資の返済が始まっている
- 税金の支払いが後から来る
これらはすべて、
- 利益とは関係なく
- 現金だけを減らしていく支出
です。
その結果、
利益は黒字なのに、現金は減っていく
という状態になります。
誤解② 売上が伸びれば安心だと思っている
売上が伸びること自体は、とても良いことです。
しかし、売上が伸びるほど 出ていくお金も増える ことを忘れてはいけません。
売上が伸びると増える支出
- 仕入れ量が増える
- 人件費が増える
- 広告費を使い始める
- 設備投資をしたくなる
つまり、
売上アップ = お金の出入りが激しくなる
ということです。
このとき、
資金繰りを考えずに動くと、
「売れているのに、なぜかお金が足りない」
という状況になります。
誤解③ お金の不足は「そのうち何とかなる」
これは特に開業初期に多い誤解です。
- 来月はもっと売れるはず
- 忙しくなれば解決する
- そのうち落ち着く
こうした期待に頼ってしまうと、
お金が足りなくなるタイミングに気づくのが遅れます。
飲食店で怖いのは「一気に来る支払い」
- 家賃
- 人件費
- 仕入れ
- 融資返済
- 税金
これらは、
待ってくれません。
そのため、
気づいたときには
「あと1ヶ月もたない」
という事態になります。
飲食店で起きやすい「黒字倒産」の正体
いわゆる「黒字倒産」とは、
- 利益は出ている
- でも、支払いのタイミングで現金がない
という状態です。
飲食店は特に、
- 現金の出入りが多い
- 支払いタイミングが集中しやすい
- 売上の波が激しい
という特徴があるため、
黒字倒産が起きやすい業種 でもあります。
では実際に、 「毎月、何を見て管理すればいいのか?」を知りたい方は、
で、具体的なチェック項目と簡単な管理方法を確認してください。
初心者が最初に身につけるべき考え方
難しい管理表や専門知識は、最初は必要ありません。
まずは、この3つだけ意識してください。
① 今、使えるお金はいくらか?
- 口座残高
- 現金
を合計して把握する。
② 毎月、必ず出ていくお金はいくらか?
- 家賃
- 人件費
- 仕入れ
- 返済
を合計する。
③ 何ヶ月もつか?
手元資金 ÷ 毎月の支出
この数字が、
あなたのお店の「余裕度」 です。
まとめ|黒字かどうかより「お金が回るか」が大事
飲食店経営で本当に重要なのは、
- 黒字かどうか
ではなく - お金が回り続けるかどうか
です。
利益はあくまで結果の数字。
経営を守るのは 現金の流れ です。
資金繰りやキャッシュフローを体系的に理解したい方は、
飲食店の資金繰り・キャッシュフロー完全ガイド
もあわせて読むことで、理解が一段深まります。
まずは
「黒字=安心」
という思い込みを手放すところから始めてみてください。



