はじめに|原価率30%なのに、なぜか苦しい店が多い理由
「原価率は30%以内に抑えている」
それなのに、
- 利益がほとんど残らない
- 月末になると資金が不安
- 忙しいわりに余裕がない
こうした状態に陥っている飲食店は、決して少なくありません。
原価率30%という数字自体は、
確かに多くの業態で“ひとつの目安”として使われています。
しかし問題は、
その数字を守っているのに、なぜか経営が楽にならない店が多いこと です。
この記事では、
- 原価率30%という数字の正しい位置づけ
- 原価が原因に見えて、実は違うところに問題があるケース
- あえて原価率が高くても利益を出している店の考え方
を整理しながら、
「原価をどう捉えるべきか」 を分かりやすく解説します。
原価改善のHOWTOに入る前に、
まずは前提となる考え方を揃えておきましょう。
1. 原価率30%は「正解」ではなく、ただの目安
まず大前提として押さえておきたいのは、
原価率30%は、正解でもゴールでもありません。
あくまで、
多くの飲食店で使われている「参考値」にすぎません。
原価率は“目的”ではなく“結果”
原価率は、
- 業態
- 価格帯
- 客層
- 回転率
- メニュー構成
といった条件の 結果として決まる数字 です。
つまり、
- 原価率30%だから良い
- 35%だから悪い
という単純な話ではありません。
数字だけを見て判断すると、
本来見るべきポイントを見失ってしまいます。
2. 原価が原因に見えて、実は違う3つのケース
「利益が出ない=原価が高い」と考えがちですが、
実際には 原価以外が原因 であるケースも非常に多いです。
ケース① 人件費・固定費が原因なのに、原価を疑っている
よくあるのがこのパターンです。
- 原価率:30%
- それでも利益が出ない
- さらに原価を下げようとする
しかし実際には、
- 人件費が売上に連動していない
- 固定費(家賃・設備・サブスク)が重い
という構造が原因で、
原価を下げても楽にならない状態 になっています。
この場合、
原価に手を入れるほど現場が疲弊し、
逆効果になることすらあります。
ケース② 原価ではなく「売価設計」が弱い
原価率が高く見える原因が、
実は 価格設定そのもの にあるケースです。
- 原価は適正
- でも売価が低すぎる
- 結果、原価率が高く見える
この状態で原価を下げようとすると、
- 品質を落とす
- 盛りを減らす
- 仕込みを削る
といった無理な改善になりがちです。
本来見直すべきは、
原価ではなく「価格の付け方」 です。
ケース③ 売上・回転が足りず、原価が重く見えている
もうひとつ多いのが、
- 客数が少ない
- 回転が悪い
- 売上規模が小さい
結果として、
同じ原価でも“重く感じてしまう”ケース です。
この場合、
原価率の数字そのものよりも、
- 売上構造
- 席回転
- 提供スピード
といった別の要素に目を向ける必要があります。
3. あえて原価率が高くても、利益を出している店の考え方
一方で、
原価率が35〜40%でも、
しっかり利益を出している店も存在します。
高原価でも成立する店の共通点
- 客単価が高い
- 価格に納得感がある
- 商品や体験に明確な価値がある
- 回転やオペレーションが安定している
これらの店は、
原価率を「戦略として」高くしている のが特徴です。
原価率を下げることよりも、
- 価値を高める
- 売価を正しく取る
- 利益構造全体を設計する
ことを優先しています。
4. 原価改善で失敗する店の共通点
原価改善でつまずく店には、
はっきりした共通点があります。
よくある失敗パターン
- 原価を下げることが目的になっている
- 品質を落としてしまう
- スタッフの不満が増える
- 客単価やリピートが下がる
結果として、
原価率は下がったのに、
売上も利益も落ちる
という本末転倒な状態になります。
原価改善は、
利益を増やすための手段 であって、
目的ではありません。
5. 原価を見る前に整理すべき「利益の優先順位」
原価に手をつける前に、
必ず整理しておきたいことがあります。
それは、
原価・人件費・固定費のどこがボトルネックなのか
という視点です。
- 原価を下げるべき段階なのか
- 先に人件費や固定費を整えるべきなのか
これを見誤ると、
努力の方向がズレてしまいます。
まとめ|原価は「管理するもの」であって「疑うもの」ではない
原価率は、
飲食店経営において非常に重要な指標です。
しかし、
- 原価率だけを見る
- 原価を下げることが目的になる
と、かえって経営は苦しくなります。
大切なのは、
- 原価を正しく位置づける
- 利益構造全体で考える
- その上で改善に入る
という順番です。
原価改善の具体的な方法を知りたい方は、
次の記事で 実践的なHOWTO を確認してください。
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