はじめに|「あと何人来れば黒字か」答えられますか?
「売上は悪くないはずなのに、なぜか利益が残らない」 「毎月ギリギリ黒字…安心できない」
その原因の多くは、 自店の“損益分岐点”を正確に把握していないこと にあります。
損益分岐点とは、
赤字にも黒字にもならない“ちょうどゼロ”の売上ライン
のことです。
このラインが分かれば、
- あと何人来れば黒字か
- 売上がどれだけ落ちたら危険か
- 固定費が重いのか
- 原価・人件費が問題か
が、数字で見えるようになります。
この記事では、 飲食店の損益分岐点の出し方を 初心者でも分かる形で 解説します。
1. 損益分岐点とは?
損益分岐点とは、
売上 = 総コスト になる地点
のことです。
売上がこれを超えれば黒字、 下回れば赤字になります。
飲食店では、
売上 − 原価 − 人件費 − 固定費 = 利益
で利益が決まります。
2. 損益分岐点の基本計算式
① 限界利益率を出す
限界利益率 = 100% − 原価率 − 人件費率
例: 原価率30% 人件費率30%
→ 限界利益率40%
② 損益分岐点売上を出す
損益分岐点売上 = 固定費 ÷ 限界利益率
例: 固定費60万円 限界利益率40%
→ 60万円 ÷ 0.4 = 150万円
つまり、 月商150万円で黒字ライン です。
③ 何人来れば黒字か?
必要来客数 = 損益分岐点売上 ÷ 客単価
例: 客単価3,000円
→ 150万円 ÷ 3,000円 = 500人
営業日25日なら、
→ 1日20人で黒字
損益分岐点をその場でシミュレーションしてみよう
※ 限界利益率が30%未満の場合は、 原価や人件費構造に課題がある可能性があります。
業態別|黒字ラインの目安(売上と来店数)
ここでは、一般的なモデルケースをもとに
「黒字に必要な売上」と「何人来れば達成できるのか」を
分かりやすく整理します。
※あくまで目安モデルです。実際の数値は店舗条件により異なります。
モデル前提
- 月固定費:150万円
- 変動費率(原価+一部変動人件費):60%
- 客単価:3,000円
① 黒字に必要な売上(損益分岐点売上)
損益分岐点売上 = 固定費 ÷ (1 − 変動費率)
150万円 ÷(1 − 0.6)= 375万円
👉 月商375万円が黒字ライン
② 何人来れば黒字になる?
必要来店数 = 損益分岐点売上 ÷ 客単価
375万円 ÷ 3,000円 = 1,250人(月)
👉 月1,250人の来店が必要
③ 1日あたり何人?
1,250人 ÷ 30日 = 約42人/日
👉 1日42人が黒字ライン
業態別の目安早見表(参考モデル)
| 業態 | 月固定費 | 客単価 | 黒字ライン月商 | 必要来店数(月) | 必要来店数(1日) |
|---|---|---|---|---|---|
| カフェ | 120万円 | 1,200円 | 約300万円 | 約2,500人 | 約83人 |
| 居酒屋 | 150万円 | 3,000円 | 約375万円 | 約1,250人 | 約42人 |
| レストラン | 200万円 | 4,000円 | 約500万円 | 約1,250人 | 約42人 |
| 高単価店 | 250万円 | 8,000円 | 約625万円 | 約780人 | 約26人 |
※変動費率60%・月30日営業・必要来店数は切り上げ前提で試算
ポイント
黒字ラインは、
- 固定費が重いほど上がる
- 客単価が低いほど必要人数が増える
というシンプルな構造です。
重要なのは、
「売上いくら?」ではなく
「何人来れば達成できる?」に変換すること。
ここまで落とし込めると、
経営判断が一気に具体的になります。
3. 分岐点が高い店の特徴
損益分岐点が高すぎると、
- 少し売上が落ちただけで赤字
- 常に不安
- 忙しいのに利益が薄い
状態になります。
原因は主に3つ。
① 原価率が高い
→ メニュー設計やロスに課題
参考: 👉 原価率30%でも利益が出ない理由
② 人件費が売上に連動していない
→ シフト設計に課題
参考: 👉 数字が苦手でもできる|利益改善の始め方
③ 固定費が重い
→ 家賃・設備・構造の問題
参考: 👉 固定費が重くなる構造
4. 分岐点を下げる方法
損益分岐点を下げるには、
① 限界利益率を上げる
- 値付け改善
- ロス削減
- メニュー設計見直し
② 固定費を軽くする
- サブスク整理
- 営業時間最適化
- 動線改善
詳しくは: 👉 利益改善の優先順位
5. 分岐点と利益率の違い
損益分岐点は「黒字になる最低売上」
利益率は「黒字になった後の利益割合」
両方を見ることで、 経営の安全性が分かります。
利益率については:
よくある質問(FAQ)
Q1. 損益分岐点は月商の何%が理想?
理想は月商の50〜60%程度で黒字ライン。
80%以上だと危険水準です。
Q2. 分岐点が高すぎる場合は?
原価 → 人件費 → 固定費の順に見直します。
Q3. 毎月計算するべき?
はい。最低でも月次確認がおすすめです。
まとめ
損益分岐点が分かると、
- 不安が減る
- 改善ポイントが明確になる
- 無駄な焦りがなくなる
利益改善は、 「頑張ること」ではなく 「構造を理解すること」から始まります。
まずは、自店の分岐点を出してみましょう。



