はじめに|売上予測が甘いと、開業後に苦しくなる
飲食店開業で最も多い失敗の1つが、売上予測の甘さです。
- 思ったよりお客様が来ない
- 回転率が上がらない
- 客単価が想定より低い
- 固定費を吸収できない
このような状態になると、開業後すぐに資金繰りが厳しくなります。
特に事業計画書や融資審査では、
👉 「この売上は本当に実現できるのか?」
という点を必ず見られます。
売上予測は、希望的観測で作るものではありません。
👉 「現実的にどこまで売れるか」を確認するためのシミュレーション
です。
事業計画書全体の作り方を知りたい方は
👉 飲食店の事業計画書の書き方
テンプレをそのまま使いたい方は
👉 飲食店の事業計画書テンプレート
まず結論|売上予測は「客単価 × 席数 × 回転率 × 営業日数」で考える
飲食店の売上予測は、次の式で考えます。
月商 = 客単価 × 席数 × 回転率 × 営業日数
例えば、
- 客単価:3,000円
- 席数:30席
- 回転率:1.5回
- 営業日数:25日
の場合、
3,000円 × 30席 × 1.5回 × 25日 = 月商337.5万円
この考え方が、事業計画書や融資資料のベースになります。
売上予測を構成する4つの要素
1. 客単価
客単価とは、1人あたりの平均利用金額です。
例えば、
- ラーメン店:800〜1,200円
- カフェ:1,000〜1,500円
- 居酒屋:3,000〜4,500円
- 焼肉:4,000〜6,000円
程度が目安になります。
ただし、客単価は「理想」ではなく、競合店やエリアの相場から考えることが重要です。
例えば、周辺の居酒屋が3,000円前後で利用されているエリアで、いきなり5,000円の客単価を想定しても現実的ではありません。
2. 席数
席数は、その店舗が物理的にどれだけ売上を作れるかを左右します。
当然ですが、席数が少なければ、客単価や回転率を上げないと売上は伸びません。
例えば、
- 10席の小箱店舗
- 30席の標準店舗
- 50席以上の大型店舗
では、必要な客単価や回転率が大きく変わります。
特に小箱店舗では、
- 高単価にする
- 回転率を上げる
- テイクアウトやデリバリーを組み合わせる
などの工夫が必要です。
3. 回転率
回転率とは、1日に何回席が入れ替わるかです。
例えば、30席の店舗で回転率1.5回なら、
30席 × 1.5回 = 45人
が1日の来店人数の目安になります。
業態ごとの回転率の目安は以下です。
| 業態 | 回転率の目安 |
|---|---|
| カフェ | 1.0〜1.5回 |
| ラーメン | 2.5〜4.0回 |
| 居酒屋 | 1.2〜1.8回 |
| 焼肉 | 1.0〜1.5回 |
| 定食屋 | 2.0〜3.0回 |
回転率は、営業時間・提供スピード・立地・客層によって大きく変わります。
特に居酒屋や焼肉は滞在時間が長く、回転率が低くなりやすい点に注意が必要です。
4. 営業日数
営業日数も売上に大きく影響します。
例えば、月25日営業と月30日営業では、同じ売上構造でも20%以上差が出ます。
ただし、無理に営業日数を増やすと、
- 人件費増加
- オペレーション負荷増加
- スタッフ不足
- 定休日がなく疲弊する
などの問題も起きやすくなります。
業態別の売上予測例
居酒屋の場合
- 客単価:3,500円
- 席数:40席
- 回転率:1.5回
- 営業日数:25日
3,500円 × 40席 × 1.5回 × 25日 = 月商525万円
カフェの場合
- 客単価:1,200円
- 席数:25席
- 回転率:1.8回
- 営業日数:26日
1,200円 × 25席 × 1.8回 × 26日 = 月商140.4万円
ラーメン店の場合
- 客単価:1,000円
- 席数:15席
- 回転率:3.5回
- 営業日数:27日
1,000円 × 15席 × 3.5回 × 27日 = 月商141.75万円
このように、同じ席数でも業態によって必要な回転率や客単価は大きく異なります。
売上予測は「楽観・通常・悲観」の3パターンで考える
売上予測を1パターンだけで考えるのは危険です。
おすすめは、
- 楽観シナリオ
- 通常シナリオ
- 悲観シナリオ
の3パターンを作ることです。
例えば、居酒屋なら以下のようになります。
| パターン | 客単価 | 回転率 | 月商 |
|---|---|---|---|
| 楽観 | 4,000円 | 1.8回 | 720万円 |
| 通常 | 3,500円 | 1.5回 | 525万円 |
| 悲観 | 3,000円 | 1.2回 | 360万円 |
特に重要なのは、悲観シナリオでも固定費を払えるかです。
悲観シナリオで赤字になる場合は、
- 家賃を下げる
- 席数を増やす
- 客単価を上げる
- 人件費を抑える
などの見直しが必要です。
損益分岐売上と比較する
売上予測を作るときは、必ず損益分岐売上と比較しましょう。
例えば、
- 家賃:40万円
- 人件費:100万円
- その他固定費:60万円
の場合、固定費だけで月200万円かかります。
原価率30%、人件費率25%の業態なら、損益分岐売上は約350〜400万円程度になることもあります。
つまり、通常シナリオが月商350万円程度しかないなら、その店舗はかなり危険です。
よくある失敗例
❌ 客単価を高く見積もりすぎる
競合相場より高い価格設定にすると、想定通りの客数が来ません。
❌ 回転率を高く見積もりすぎる
居酒屋で回転率2.5回など、実際にはかなり難しいケースもあります。
❌ 営業日数を多くしすぎる
休みがなく、オペレーションが崩れるケースがあります。
❌ 悲観シナリオを作っていない
通常シナリオしか考えていないと、売上が少し下振れしただけで資金ショートします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 売上予測はどれくらい正確に作るべきですか?
結論:100%正確である必要はありません。
ただし、「現実的で説明できる数字」であることが重要です。
Q2. 回転率はどうやって決めればいいですか?
競合店を見に行き、
- 混雑状況
- 滞在時間
- 客層
- 席数
を観察するのがおすすめです。
Q3. 客単価はどうやって決めればいいですか?
近隣競合の価格帯と、自店のターゲット層から考えるのが基本です。
Q4. 事業計画書ではどの数字が一番重要ですか?
最も見られるのは、売上予測の現実性です。
現役オーナーに聞いてわかったこと
出典: ヒアリング協力者プロフィールを見る売上予測は「席数・席効率・回転数・客単価」で作る
銀座・池袋・埼玉での出店経験があり、現在は埼玉県で小箱のジンギスカン店を2店舗運営している現役オーナーへのヒアリングでは、売上予測は感覚ではなく、
- 席数
- 席効率
- 回転数
- 客単価
に分解して考えることが重要とのことでした。
特に席効率については、「何人組の来店が多いか」を確認し、その立地で必要なテーブル構成や席数を考えているそうです。
また、回転数については、実際に競合店へ行き、
- 待ち状況
- 滞在時間
- 卓管理ボード
- ピーク時間帯
などを見ながら、「1日に何回転できそうか」を推測しているとのことでした。
客単価についても、近い業態の店舗で実際に食事をしたり、レジ付近で会計金額や注文内容を観察したりしながら確認しているそうです。
そのため、売上予測では「自分はこのくらい売りたい」ではなく、「周辺店舗がどれくらい売れていそうか」を現場で確認しながら数字を置くことが重要です。
楽観ではなく「悲観・通常・楽観」の3パターンで考える
事業計画書で最も不安になるのは、「本当にこの売上でいけるのか」という点です。
そのため実際には、
- 楽観シナリオ
- 通常シナリオ
- 悲観シナリオ
の3パターンを作り、特に悲観シナリオでも資金ショートしないかを確認していたとのことでした。
また、悲観シナリオを作ることで、「どこまで売上が下がると危険か」を事前に把握でき、心理的な安心感にもつながると話していました。
悲観シナリオでも耐えられるかを見る
まとめ|売上予測は「希望」ではなく「現実」で考える
売上予測で重要なのは、
- 客単価
- 席数
- 回転率
- 営業日数
を現実的に設定することです。
そして、
- 楽観
- 通常
- 悲観
の3パターンを作り、悲観シナリオでも成立するかを確認しましょう。
最終的には、
👉 「その売上で本当に続けられるか」
を考えることが重要です。
事業計画書を作りたい方は
👉 飲食店の事業計画書テンプレート
損益分岐売上も知りたい方は
👉 飲食店の損益分岐点の考え方
もあわせてご覧ください。




