はじめに|事業計画書は「通すための書類」ではない
飲食店開業で避けて通れないのが、事業計画書(創業計画書)です。
- 融資のために必要
- なんとなく難しそう
- とりあえず書かないといけない
そう思われがちですが、本質は違います。
👉 事業計画書は「融資を通すための書類」ではなく
👉 「事業が成立するかを確認する設計図」です。
この設計が曖昧なまま開業すると、
- 売上が足りない
- 資金が尽きる
- 利益が残らない
といった問題が高確率で起きます。
売上構造から整理したい方は
👉 飲食店の売上最大化の完全ガイド
開業の全体像を知りたい方は
👉 飲食店開業の完全ガイド
もあわせてご覧ください。
まず結論|事業計画書で重要な3つ
事業計画書で最も重要なのは、次の3つです。
- 売上が現実的か
- 資金が足りているか
- 誰に、なぜ選ばれるのか
この3つが整理できていれば、
金融機関にも説明しやすくなり、開業後の見通しも立てやすくなります。
完全版テンプレ(そのまま使えます)
※日本政策金融公庫の創業計画書で聞かれる内容に沿って整理しやすい構成です
※実際に提出する前に、数字や表現はご自身の計画に合わせて調整してください
【創業の動機】
飲食業界での経験は〇年あり、これまで〇〇業態に従事してきました。
今回の開業では、〇〇というニーズに対して〇〇を提供することで差別化を図ります。
(例)
飲食業界で5年間、居酒屋業態に従事してきました。
既存店舗では「手頃な価格で本格料理を楽しみたい」というニーズがあると感じ、低価格かつ高品質な料理を提供する店舗を開業します。
【事業内容】
業態:居酒屋
店舗形態:路面店
営業時間:17:00〜23:00
席数:40席
提供内容:
・アルコール提供
・定番居酒屋メニュー
・コース料理
【ターゲット・立地】
出店エリア:〇〇駅 徒歩5分
ターゲット:20〜40代会社員
利用シーン:仕事帰り・飲み会
競合との差別化:
・低価格 × 高品質
・提供スピードの速さ
・回転率の高さ
【売上計画】
客単価:3,000円
席数:40席
回転率:1.5回
1日売上:3,000円 × 40席 × 1.5回 = 180,000円
月商:約450万円
【コスト構造】
原価率:30%
人件費率:25%
家賃:500,000円
その他固定費:300,000円
営業利益 = 売上 −(原価+人件費+固定費)
【資金計画】
初期費用:800万円
運転資金:300万円
自己資金:300万円
借入:800万円
【集客戦略】
・Googleマップ対策
・SNS運用(Instagram)
・オープンキャンペーン
ここまでで、創業計画書に必要な項目の全体像は整理できます。
ただし、実際に金融機関へ説明するうえでは、文章を埋めるだけでなく、売上や資金計画に根拠があることも重要です。
次に、現役オーナーへのヒアリングをもとに、特に見られやすい数字の作り方を整理します。
現役オーナーに聞いてわかったこと
出典: ヒアリング協力者プロフィールを見る売上予測は「席数・席効率・回転数・客単価」で作る
銀座・池袋・埼玉での出店経験があり、現在は埼玉県で小箱のジンギスカン店を2店舗運営している現役オーナーへのヒアリングでは、
売上予測は感覚ではなく、
「席数」「席効率」「回転数」「客単価」に分解して考えることが重要とのことでした。
特に回転数や客単価は、近隣の競合店を実際に見に行き、
- どのくらい客が入っているか
- 何人組が多いか
- どのくらい回転していそうか
- どんな価格帯で利用されているか
を観察して判断しているそうです。
楽観ではなく「悲観・通常・楽観」の3パターンで考える
事業計画書で最も不安になるのは、「本当にこの売上でいけるのか」という点です。
そのため実際には、
- 楽観シナリオ
- 通常シナリオ
- 悲観シナリオ
の3パターンを作り、
特に悲観シナリオでも資金ショートしないかを確認していたとのことでした。
悲観シナリオでも耐えられるかを見る
この考え方は、融資審査対策だけでなく、
開業後の精神的な安心感にもつながります。
公庫や金融機関に伝わるのは「数字の派手さ」ではなく「根拠」
日本政策金融公庫などでは、売上を大きく見せることよりも、
その数字に根拠があるかの方が重要とのことでした。
具体的には、
- 競合調査をしているか
- そのエリアの客層を見ているか
- 席数や回転数の設定に無理がないか
- 原価や人件費の見積もりが不自然でないか
といった点が見られている感覚で、
明らかに不自然な数字でなければ、
「どこまで事前準備しているか」が重要だそうです。
夢だけで先走らず、マーケットの現実を見る
夢だけで先走るな。マーケットの現実をちゃんと見ろ
どれだけ思い入れのある業態でも、
- その立地で成立するのか
- 誰が来るのか
- いくらなら使ってもらえるのか
- その売上で固定費を吸収できるのか
を見ないまま開業すると、
事業計画書も実態のないものになってしまいます。
事業計画書は、自分の理想を書く書類ではなく、
「その計画で本当に続けられるか」を現実的に確認するためのものだと考えることが大切です。
よくあるNG例
❌ 売上が楽観的すぎる
→ 実現できない数字は一発で見抜かれます
❌ 運転資金が不足
→ 開業後3ヶ月で資金ショートするケースが多い
❌ 差別化が弱い
→ 「なんとなくの居酒屋」は評価されません
よくある質問(FAQ)
Q1. 事業計画書はどこまで正確に書く必要がありますか?
結論:完璧である必要はありませんが、「現実的」であることが重要です。
Q2. 未経験でも融資は通りますか?
結論:可能ですが、計画の精度がより重要になります。
👉 資金・融資ガイド
Q3. 一番見られるポイントはどこですか?
結論:売上の現実性です。
Q4. どこから作り始めるべきですか?
結論:売上設計からです。
Q5. 未経験でも事業計画書は作れますか?
結論:可能です。 ただし「数字の根拠」をしっかり作ることが重要です。
Q6. どのくらいの精度で書けばいいですか?
結論:100%正確である必要はありません。
ただし「現実的で説明できる数字」であることが重要です。
まとめ|事業計画書は「未来のシミュレーション」
事業計画書は、
- 融資のため
- 書類提出のため
ではなく、
👉 「開業後の未来をシミュレーションするもの」
です。
重要なのは、
- 売上が成立するか
- 資金が持つか
- 継続できるか
この3つです。
まずはテンプレを使って、
自分の計画を一度書き出してみてください。
開業の全体像や進め方を先に整理したい方は、
👉 飲食店開業の完全ガイド
もあわせてご覧ください。
補足
テンプレートを見ながら手入力するのが大変な場合は、
質問に沿って入力しながら創業計画書を作成できる無料フォームも活用できます。




